この記事のゴール:初めてでも 90分でGA4の初期設定→基本レポート→探索の型までを完了。さらに KPI設計・UTM命名・よくある詰まりの解消 まで、これ1本でカバーします。
GA4とは?(UAとの違いも3行で)
GA4(Google Analytics 4)はイベントベース計測。ページビューに加えて、クリックやスクロールなど、ユーザー行動をイベントとして柔軟に記録します。
UAとの主な違い(3行)
- 計測の単位:UA=セッション中心 → GA4=イベント中心(柔軟)
- 指標の定義:直帰率などの概念が整理・再定義(例:エンゲージメント率)
- 分析の作法:標準レポート+探索(自由分析)で“問い”から見る
迷ったら「何を改善したいのか→それを測れているか→どの画面で見られるか」の順で考えるのがコツ。
最短チェックリスト:初期設定でまずやる10項目
ここだけ押さえれば“最低限使える”状態に。所要60〜90分。
- プロパティ作成 & データストリーム設定(Web/アプリ)
- 拡張計測の確認(スクロール・離脱クリック等の自動イベント)
- 内部トラフィック除外(自社/制作のIP・ルールで除外)
- 不正リファラ・支払いドメインの除外(例:
payments.example.com
など) - コンバージョン定義(問い合わせ送信/購入/会員登録など。閲覧だけは原則NG)
- イベント名の整理(
generate_lead
/purchase
/file_download
等) - Google広告・Search Console 連携(集客→効果を一気通貫に)
- データ保持期間の延長(14か月推奨)
- タイムゾーン/通貨の確認(会計・広告レポートと整合)
- 権限と運用ルール(閲覧/編集/分析の権限設計、変更ログの共有)
ヒント:最初に「何をもって成果とするか(KGI/KPI)」を短く文章化し、イベント名・コンバージョン名に反映すると混乱しません。
まずはここを見る:標準レポート5画面の使い方
毎週の定例で見る“最低限”のダッシュボード。
1) レポートスナップショット
- 直近の集客・エンゲージメント・コンバージョンの俯瞰。
- まずは 前週比/前月比 の傾向を見る→異常値があれば個別レポートへ。
2) 集客>トラフィック獲得
- セッションのディメンション(デフォルトチャネル/参照元/メディア)× CV を確認。
- よくある問い:「どのチャネルがCVに効いている?」「広告の新施策は貢献している?」
3) エンゲージメント>ページとスクリーン
- ページ別の閲覧・平均エンゲージメント時間・CV を確認。
- 離脱が多いページは タイトル/ファーストビュー/導線 を見直す。
4) エンゲージメント>コンバージョン
- CVイベントの件数・率 を確認。目標に対して達成/未達の要因を仮説化。
5) ユーザー>ユーザー属性/テクノロジー
- デバイス/OS/地域 の偏りから、表示崩れ・速度・言語の課題を洗い出し。
見方の型:「指標(何が増減?)」→「要因(どのチャネル/ページ/デバイス?)」→「打ち手(仮説→施策→期日)」。
成果に直結:探索レポートの“使えるテンプレ”3選
標準では見えづらい “なぜ・どこで” を深掘る。
A. ファネル探索(購入/問い合わせの分解)
目的:CVまでの離脱ステップを特定し、改善優先度を決める。
作り方の例
- ステップ:
LP表示
→商品詳細
→カート
→購入
(またはフォーム到達
→送信
) - セグメント:新規/リピート、チャネル別 を並べて差を見る
- 指標:到達率 と 平均エンゲージメント時間
見るポイント:
- どのステップで落ちるか(例:カート→購入の落ちが大きい=送料や決済UXの問題)
- チャネルで差(例:SNS流入はLP→詳細の遷移が弱い=メッセージ不一致)
B. 経路(パス)探索(離脱点の特定)
目的:ユーザーがどこからどこへ移動/離脱しているかを可視化。
作り方の例:起点を page_view
(主要ページ)に設定→次のイベント/ページ をたどる。
見るポイント:
- 検索窓/ヘッダー/パンくず の利用経路はあるか
- 離脱直前のページ(FAQ/送料/特定商取引法ページなど)
C. セグメントの重ね合わせ(新規×チャネル×CV)
目的:新規ユーザーの 獲得効率 と CV質 を両方で評価。
作り方の例:行=チャネル、列=新規/既存、指標=CV率/収益。
見るポイント:
- “安いけどCVに結びつかない”チャネル を切る
- “少ないけど質が高い”チャネル を伸ばす
KPI設計とUTM命名:初心者でも運用が回る型
“測れないKPI”は改善できません。命名ルール は最初に決める。
KPI設計(例:小規模EC)
- KGI:月間売上¥3,000,000
- 主要KPI:
- CV(
purchase
)件数 / CVR / 平均注文額(AOV) - 新規率 / リピート率
- チャネル別ROAS(広告連携時)
- CV(
- マイクロCV:
add_to_cart
/view_promotion
/file_download
など
UTM命名テンプレ(コピペ可)
ルール:下記5項目を 半角英数・小文字・ハイフン区切り、社内でスプレッドシート管理。
パラメータ | 例 | 説明 |
---|---|---|
utm_source | google / meta / x / newsletter | 流入元 |
utm_medium | cpc / cpm / email / social | 媒体 |
utm_campaign | spring-sale-2025 / brand-keyword | 施策名 |
utm_content | ab-test-a / video-15s | クリエイティブ |
utm_term | shoes+brand | キーワード(検索広告のみ) |
命名の型(例)
source=google
medium=cpc
campaign=brand-keyword
content=rsap-30s-blue
term=brand+kw
Tips:
gclid
が付くGoogle広告は自動タグ推奨。メール/アフィリエイト/オフライン計測はUTMを厳格に。
よくあるつまずきと対処集
「UAと数字が合わない…」
- 定義が違う(イベント/セッション、直帰率→エンゲージメント率 等)
- 同一期間・同一ディメンション・同一フィルタで比較し、比率で整合 を取るのが現実解。
「コンバージョンがカウントされない」
- イベント名が
purchase
なのにecommerce
データが未送信 などのパラメータ欠落 - 重複送信/遅延(タグの二重発火、サーバー遅延)
- 除外リファラ漏れ(決済ドメイン経由)
「社内アクセスが混ざる」
- 内部トラフィック除外 の条件を
developer_traffic
で送信/一致させる - VPNや拠点追加時は 都度ルール更新
「サブドメイン/別ドメインでセッションが切れる」
- クロスドメイン設定 の自動リンク/除外設定を確認
- 決済やヘルプドメインを必ず登録
役割別のおすすめ活用(経営/マーケ/制作)
経営/事業責任者
- 週次で レポートスナップショット と CV/売上の推移 を確認→投資判断。
マーケ担当
- トラフィック獲得 と 探索(ファネル/パス) を定例運用。
- 施策毎に UTMスプレッドシート を更新→命名のブレ禁止。
制作/開発
- ページとスクリーン の離脱点→UI修正の優先度付け。
- 変更時は イベント仕様書 を更新(イベント名/条件/パラメータ)。
次の一歩:BigQuery/Looker Studio/広告連携の判断基準
- やるべき人:
- データ量が多い/高度なLTV分析が必要
- 広告レポートを ROAS/KPI で一元管理したい
- まだ早い人:
- まずは CV定義とUTM命名 が固まっていない
- 標準レポートで基礎が回っていない
迷ったら:「週次で正しくCVが見れているか」 を合格ラインに。次にLooker Studioで可視化、必要ならBigQueryへ。
コピーして使える:導入〜運用チェックリスト
ミニ用語集(初心者むけ)
- イベント:ユーザーの行動(クリック/スクロール/購入など)
- ディメンション:切り口(チャネル/ページ/デバイス/地域 など)
- 指標:数値(件数/率/時間/収益 など)
- エンゲージメント率:ユーザーが“ちゃんと見た”割合の目安
- コンバージョン:目標達成の行動(購入・送信 等)
- 探索:自由度の高い分析機能(ファネル/パス/セグメントなど)
FAQ
Q1. まず何から始めればいい?
A. 本記事の 初期設定10項目 を上から順に。次に コンバージョン定義 と UTM命名 を必ず決める。
Q2. 広告と数字が合いません
A. 期間・通貨・タイムゾーン・アトリビューション窓の不一致が定番。比較条件を揃える のが先決。
Q3. 探索は難しそう…
A. テンプレ3種(ファネル/パス/重ね合わせ) だけでOK。作れたら保存→毎週同じ指標で比較。
Q4. BtoBでも使える?
A. 使えます。マイクロCV(資料DL/セミナー申込) を定義、広告はリード質で評価。
Q5. ECで最初に効く改善は?
A. カート→購入の体験改善(送料/支払い/アカウント作成)。次に LPのメッセージ一致。
まとめ
- GA4は イベント中心。初期設定→標準→探索 の順に“型”で回す。
- KPIとUTM命名 が運用の土台。レポートは毎週同じ問いで比較。
- 迷ったら CVの定義と品質 から。次の一歩は Looker Studio→BigQuery の順。