【初心者向け・保存版】Looker Studioの使い方|ダッシュボード作成をゼロから完成まで徹底解説

Looker Studio

1. まずは「誰が何を決めるために見るか」を決める(5分で要件定義)

**ダッシュボードは“意思決定の道具”**です。先に次を言語化します。

  • 閲覧者:経営層/マーケ担当/広告運用/店舗マネージャー など
  • 意思決定:今日やるべき施策は?週次の改善点は?
  • 更新頻度:毎日/毎週/月次
  • KGI/KPI:売上・ROAS・CVR・客単価・在庫回転・工数 など
  • 主要ディメンション:日付・チャネル・デバイス・地域・商品

例)「広告運用者が毎朝、前日パフォーマンスを確認し入札と予算配分を決める


2. 準備チェックリスト(ミスを未然に防ぐ)

  • データソース:GA4 / Google 広告 / Search Console / スプレッドシート / BigQuery
  • UTM整備utm_source / utm_medium / utm_campaign の命名ルールを統一
  • 通貨・タイムゾーン:サイトと広告で合わせる
  • 権限:閲覧者に対してデータアクセス方式(所有者/閲覧者の資格情報)を決める
  • 指標の定義書:CVR, CPA, ROAS などの定義を1枚で共有

3. データ接続(GA4/広告/スプレッドシート/BigQuery)

  1. 新しいレポート → データを追加
  2. よく使う接続:
    • GA4:セッション・イベント・コンバージョンの軸
    • Google 広告:費用・クリック・表示回数・キャンペーン
    • スプレッドシート:目標/予算/在庫/原価などの社内指標を追加
    • BigQuery:大量データ、複数ソースの正規化・集計

コスト(広告)×成果(GA4)を日付+キャンペーン名で合わせ、シートの「目標」も日付でブレンドするのが定番。


4. “勝てる”レイアウト設計(12カラム思考)

  • ヒーロー帯(最上段):KPIスコアカードを横一列(売上/費用/ROAS/CVR/CPA)
  • 左:時系列(幅8)—「売上・CV・費用・ROASの推移」を重ねず別グラフで
  • 右:今日のアラート(幅4)—「目標乖離」「在庫少数」「CV急落」をカード化
  • 下段:ドリル
    • テーブル①:キャンペーン×デバイス
    • テーブル②:流入チャネル×地域
    • ビジュアル:棒・ツリーマップ・地図のいずれかで“偏り”を可視化
  • 共通コントロール:日付範囲、チャネル、デバイス、地域のフィルタを上部に固定

5. まず置くべき“基本ウィジェット”7点

  1. 日付コントロール:比較は「前日/前週/前年同日」
  2. スコアカード:売上/CV/費用/ROAS/CVR/CPA
  3. 折れ線(時系列):ROAS・CV・費用を個別に
  4. 棒(ランキング):キャンペーン別ROAS、商品別売上Top10
  5. テーブルキャンペーン / クリック / 費用 / CV / CPA / ROAS(降順)
  6. 地図:地域別CVRで“勝てる土地”を発見
  7. ツリーマップ:チャネルの構成比と効果をひと目で

6. “即戦力”計算フィールド(コピペOK)

割り算は必ずゼロ割対策NULLIF(母数,0))を入れるのがプロの作法。

  • CTR
    クリック数 / NULLIF(表示回数, 0)
  • CVR(コンバージョン率)
    コンバージョン数 / NULLIF(クリック数, 0)
  • CPA
    費用 / NULLIF(コンバージョン数, 0)
  • ROAS
    売上 / NULLIF(費用, 0)
  • AOV(客単価)
    売上 / NULLIF(購入回数, 0)
  • ブランド/指名判定(キャンペーン名で分類) CASE WHEN REGEXP_MATCH(キャンペーン, 'brand|指名|公式|社名') THEN 'Brand' ELSE 'Non-Brand' END
  • チャネル正規化(UTM優先) CASE WHEN LOWER(utm_medium) IN ('cpc','ppc','paid','paid_search') THEN 'Paid Search' WHEN LOWER(utm_source) CONTAINS 'facebook' OR LOWER(utm_source) CONTAINS 'instagram' THEN 'Paid Social' WHEN LOWER(utm_medium)='email' THEN 'Email' WHEN LOWER(utm_medium) IN ('display','gdn') THEN 'Display' WHEN LOWER(utm_medium) IN ('affiliate') THEN 'Affiliate' WHEN LOWER(utm_medium) IN ('referral') THEN 'Referral' WHEN LOWER(utm_medium) IN ('organic','seo') THEN 'Organic Search' ELSE 'Other' END

7. データを“混ぜる”ベストプラクティス(ブレンド)

目的に応じてキーを合わせます。

  • 広告費用 × GA4成果日付 + キャンペーン名(できれば キャンペーンID
  • 目標・予算(シート) × 実績日付 をキーに、当月合計/週次合計も併記
  • 原価・粗利商品ID or SKU で結合 → 粗利ROAS=粗利/費用

キーが合わないと重複や欠損が出ます。まず件数と合計が合うかをQAしましょう。


8. 伝わるデザイン 7原則

  1. 一画面で“判断”が終わる配置
  2. 色は役割固定(例:費用=グレイ、売上=濃色、CV=強調)
  3. 単位の明記(¥・%・件)
  4. 凡例を近くに(視線移動を減らす)
  5. 小数点の桁を揃える(%は1桁、金額は千位区切り)
  6. インタラクション(ホバーで注釈、クリックでドリル)
  7. 余白>装飾(読みやすさ最優先)

9. パフォーマンス最適化(“重い”を防ぐ)

  • 日付を絞る(既定は直近28~90日)
  • 抽出データを使う(BigQueryや事前集計)
  • テーブル行数を制限(Top N+詳細は別ページ)
  • ブレンドは必要最小限(多段ブレンドは重くなる)

10. 共有・権限・自動更新

  • 共有方式
    • “所有者の資格情報”=閲覧者は元データ権限不要で見られる
    • “閲覧者の資格情報”=閲覧者が各データの権限を持つ必要あり
  • 更新頻度:日次/時間単位の再計算。重い場合は事前集計 or 抽出で改善。
  • バージョン管理:更新日時・変更点・担当者を表紙ページに記載。

11. よくあるつまずきと対処

  • 指標が合わない:日付粒度・タイムゾーン・通貨・フィルタ条件を揃える
  • ゼロ割りエラーNULLIF(母数,0) を徹底
  • 同名キャンペーンが混ざるIDで結合、または正規化キーを作成
  • ROASが極端:売上の重複/未計測、テスト注文を除外
  • 遅い:ブレンド削減、行数制限、抽出データ

12. “勝てる”テンプレ設計(丸ごと構成見本)

ページ1:サマリー

  • ヘッダー:タイトル/更新日時/注釈
  • スコアカード:売上・費用・ROAS・CV・CVR・CPA
  • 折れ線:売上、CV、費用(それぞれ個別)
  • アラート:目標乖離((実績-目標)/NULLIF(目標,0))が一定以下を赤表示

ページ2:チャネル×地域

  • 棒:チャネル別CV・ROAS
  • 地図:都道府県別CVR
  • テーブル:地域 / セッション / CV / CVR / CPA

ページ3:広告深掘り

  • テーブル:キャンペーン / クリック / 費用 / CV / CPA / ROAS / デバイス
  • コントロール:キャンペーン名検索、デバイス、地域、キーワード(必要に応じて)

ページ4:商品・在庫

  • ツリーマップ:商品カテゴリの売上構成
  • テーブル:SKU / 売上 / CV / AOV / 在庫 / 粗利 / 粗利ROAS

13. 定義書サンプル(チームで共有)

指標定義
セッションGA4のセッション
コンバージョン主要イベント合計 or 購入件数
クリック広告のクリック数
表示回数広告のインプレッション
費用広告費(税・手数料の扱いは統一)
売上税込/税抜のどちらかに統一
ROAS売上 / 費用
CPA費用 / コンバージョン
CVRコンバージョン / クリック

14. 運用ルール(価値を出し続ける)

  • 毎週レビュー:KPI達成/乖離の原因→次週アクションを記録
  • 命名ルール固定:キャンペーン・UTM・SKU
  • “消えるページ”を作らない:閲覧者別に役割ごとのページを用意
  • 学習ログ:ダッシュボード末尾に“気づき・仮説・施策結果”メモ欄

15. FAQ

Q. 初心者はどのデータから?
A. まずはGA4の基本+広告費用(Google 広告)+目標(シート)で十分。成果と費用と目標が繋がれば意思決定が回ります。

Q. 売上と費用のタイムラグは?
A. ECは注文日で合わせるのが実務的。取り込み遅延があるなら注記を必ず入れましょう。

Q. 目標との比較を毎週見たい
A. シートに 週次目標 を持たせ、週番号 をキーにブレンド。達成率 = 実績 / NULLIF(目標,0) をカード表示。


まとめ

Looker Studioは「目的→データ→設計→運用」の順に進めれば、初心者でも十分に“意思決定できる”ダッシュボードを作れます。本稿のレイアウトと計算フィールドをそのまま型として使い、あなたのビジネス指標に置き換えていけば、チームのスピードは確実に上がります。