サーチタームレポートの見方と改善手順【完全ガイド】—SQRでムダゼロ&CV最大化

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「クリックは来ているのに成果が伸びない」「無駄な検索で費用が溶けている気がする」——その原因の8割は“検索語句(サーチターム)”に潜んでいます。サーチタームレポート(Search Term Report, SQR)は、ユーザーが実際に入力した語句と、そこから生まれた成果・損失を可視化する“真実の窓”。

本記事は上位記事の構成を徹底研究したうえで、現場でそのまま使える最短90分の改善ループNグラム分析の手順除外キーワード設計P-Max/ショッピング対応までを一気通貫で解説します。
リンクや回り道は不要。今日から無駄クリックを止血し、勝てる語句に集中投下できる状態を作りましょう。

1. サーチタームレポートとは(まず押さえる3ポイント)

  • 何がわかる?
    実際に検索された語句 × 表示/クリック/費用/コンバージョン(CV)/CVR/CPA/ROAS。“想定していたキーワード”ではなく“現実の検索語句”を起点に判断できます。
  • なぜ重要?
    広告のムダの大半は意図のズレから発生。SQRで“ズレ”を特定→除外→勝ち語句に最適化。
  • いつ見る?
    開始〜学習期は毎日、安定後は週1が目安。新キャンペーン/新入札戦略導入直後は頻度を上げるのが鉄則。

2. 開き方と期間・表示設定(成果の出る前提条件)

  1. 対象期間
    まず直近7〜30日でCVが十分に発生している期間を選択。季節性の影響が強い商材なら前年同期間も別途比較。
  2. 基本列
    検索語句 / マッチタイプ / クリック / 表示回数 / 費用 / CV / CVR / CPA / コンバージョン値(ある場合)/ ROAS / キーワード(マッチした元のKW)。
  3. フィルタ初期設定
    • クリック ≥ 2(ノイズ除去)
    • 費用 ≥ その日の目標CPAの0.3〜0.5倍
    • 検索語句:自社名を別タブに分離(ブランド保護と非ブランド最適化は分ける)

3. 見方の基礎:この7指標で“切る/伸ばす”を即断する

  • Wasted Cost率:費用のうちCVゼロの割合。まずここを圧縮。
  • Query-Keyword Gap:検索語句とマッチしたキーワードの距離(語順/語彙のズレ)。ズレが大きいほど意図不一致の疑い。
  • CVR/CPA/ROAS:言うまでもなく主指標。カテゴリ別(後述)にベンチマークを持つ。
  • 長さ/品詞:名詞中心の購買意図語は勝ちやすい。疑問語から始まる語句は情報収集寄り。
  • デバイス/時間帯/地域の偏り:非効率な塊は除外ではなく入札調整から試す。
  • 新規 vs 既存(ブランド):混ぜると判断がぼやける。必ず分離

4. 90分で成果を出す「SQR改善ループ」

4-1. 仕分け(5分類)

サーチタームを下記の5クラスにマーキング(ラベル付け)します。

クラス定義代表例初動アクション
A. 直接購買意図製品名/型番/価格/購入/予約/最安 等「〇〇 公式」「△△ 価格」入札↑、完全一致でKW化、広告文&LPを語句に合わせて出し分け
B. 高意図情報収集比較/評判/口コミ/使い方 等「□□ 比較」「□□ 口コミ」専用広告文&LP、指名KWへのパス設計、入札±0〜↑
C. 低意図情報収集意図が曖昧・学習系「□□ とは」「□□ どこで」入札↓、場合によりフレーズ除外
D. 誤爆/不適合求職/中古/無料/修理/他社CS 等「□□ 無料 ダウンロード」「□□ 求人」ネガティブ登録(除外)
E. 競合強すぎ入札単価が合わない/ROAS割れ「競合名 単独」メリハリ入札 or 競合比較LPで勝負、赤字なら撤退

ポイント:まずD→Cを止血、次にA→Bを“伸ばす”。

4-2. アクション表(すぐ使える運用ルール)

  • 除外(Negative)
    • Dは完全一致またはフレーズで除外。
    • Cは語尾/接頭でパターン化し、フレーズ除外の“網”を張る。
  • 拡張(Expand)
    • A/Bの勝ち語句は完全一致で新規KW化。品質スコアを素早く育成。
    • クリエイティブは語句ピン刺し(RSAのピン留め)でメッセージ一致を最大化。
  • 調整(Tweak)
    • デバイス/時間/地域は細かく入札調整(±10〜30%)。
    • マッチタイプの混在で意図ズレが続く場合はキャンペーン分割で制御権を取り戻す。

5. Nグラム分析で“勝ち語・負け語”の塊を炙り出す(スプレッドシート手順)

目的:単語(1-gram)や2語セット(2-gram)単位でCV/費用を集計し、構造的に除外・拡張を決める。
前提:SQRをCSVでエクスポートしてシートに貼付(列Aに検索語句、列B以降に指標)。

手順(Googleスプレッドシート)

  1. クリーニング列(C列) =LOWER(REGEXREPLACE(A2,"[、。・()()[]\\[\\]「」…/|_++!?,.:;]"," "))
  2. 単語分割→縦持ち(D列以降→E列に集約) =TOCOL(SPLIT(C2," "),1)
  3. ストップワード除去(別タブにリスト化しておき、FILTERで除外)
  4. ピボット
    • 行:単語
    • 値:費用の合計、CVの合計、クリックの合計
    • 計算列:CVR、CPA、ROAS
  5. 意思決定ルール例
    • 費用合計が上位20単語かつCV=0 → まとめて除外候補
    • CV貢献上位10単語 → 見出し/広告/LPで“語句一致”を強化
  6. 2-gram
    2語の組み合わせは QUERY 関数やApps Scriptで生成して同様に集計。まずは上位出現50組から判断。

6. 除外キーワード設計(階層・型・運用ルール)

  • 階層
    1. アカウント共通リスト:求人/無料/中古/修理/電話番号 等
    2. キャンペーン単位:製品ラインごとの不適合語
    3. 広告グループ単位:意図のズレを微調整
  • マッチタイプ使い分け
    • 完全一致:ピンポイントに誤爆を止める
    • フレーズ一致:語尾/接尾の“網”を張る(例:「無料」「中古」「求人」)
  • 正規表現の例(参考・パターン設計) /無料|ただ|0円|割引コード|クーポン/ /中古|メルカリ|ヤフオク|リセール/ /修理|故障|不具合|返品|返金/ /求人|募集|年収|給料|転職|採用/ /問い合わせ|電話番号|コールセンター/ ※ 実装は媒体仕様に合わせ、配列化 or リスト管理で重複/過剰除外を避ける。

7. 勝ち語句の“拡張”——キーワード/広告/LPを三位一体で

  • 完全一致でKW化:SQR上でCV/CPAの良い語句はそのまま完全一致に
  • 広告文の一致率最大化
    • RSAで見出し1に「検索語句そのもの」をピン留め
    • 見出し2に差別化ベネフィット(価格/配送/保証)
    • 説明文に“次の具体行動”(例:本日出荷/〇日までセール)
  • LPの一致
    • H1に語句、上部に第一根拠(レビュー/実績/返金保証)、下部にFAQ
    • “比較/口コミ/評判”系には比較表・UGCを増量

8. P-Max/ショッピングのサーチターム対応

  • 可視性が限定的でも“インサイト”で傾向は追える。
  • ブランド保護:指名は検索キャンペーンで取り切る or ブランド除外を調整。
  • フィード最適化が最重要:タイトルに勝ちNグラムを反映、属性の欠損を埋める、価格/在庫/利益率で入札レイヤーを分ける。

9. よくある落とし穴(回避策つき)

  1. 非ブランドとブランドを混在 → 判断不能。キャンペーン分離
  2. 除外のやり過ぎ → 配信枯渇。検索語句の“近似拡張”を残す設計に。
  3. Nグラムの粗い除外 → 有益な語まで巻き込む。費用×CVの2軸で判断
  4. 学習期に過剰最適化 → 学習崩壊。一定の表示/クリックが溜まるまで静観
  5. 他施策(LP/在庫/価格)と切り離す → 効率頭打ち。三位一体で。

10. 週次・月次SOP(そのまま使える運用テンプレ)

週次(60〜90分)

  1. 期間:直近7日(前週同曜日比較)
  2. フィルタ:クリック≥2、費用≥目標CPA×0.5
  3. 仕分け:A/B/C/D/E を10〜30語句
  4. アクション:
    • D/C:除外登録(階層・マッチタイプを明記)
    • A/B:KW化・広告文ピン留め・LP差分追加
    • 入札調整:デバイス/時間/地域(±10〜30%)
  5. レポ:Wasted Cost率A/BのCV増分除外による節約額を記録

月次(120分)

  • Nグラム更新:上位出現100語×費用/CVで見直し
  • 共通除外リスト棚卸し:重複・過剰を整理
  • クリエイティブ刷新:勝ち語句を見出しに反映し、RSAのテスト枠を2つ確保

11. 付録(配布用ミニテンプレ)

A) SQR仕分けシート(列例)

Date | Campaign | AdGroup | SearchTerm | MatchType | Clicks | Cost | Conv | CPA | Class(A/B/C/D/E) | Action(Add KW / Neg / Bid +/- / Ad / LP) | Owner | Due | Note

B) 判断基準の“しきい値”例(調整可)

  • Neg候補:費用 ≥ 目標CPA×0.7 かつ CV=0
  • 拡張候補:CV ≥ 2 かつ CPA ≤ 目標CPA×1.2
  • 入札↓:CV=0 かつ クリック ≥ 5
  • 要検証:クリック 1〜4(次回データで再判定)

C) ネガティブ語のスターターリスト(例)

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まとめ

サーチタームレポートは“費用対効果の蛇口”。D/C(ムダ)を止血し、A/B(勝ち)を拡張し続けるだけで、アカウントは着実に強くなります。本記事の90分ループNグラム手順除外設計をチームの共通言語にし、週次SOPとして回してください。今日の1時間が、来月のCPAを確実に下げます。