新規患者獲得の鍵となるか?薬局経営者が知るべきGoogleデマンドジェネレーションキャンペーン徹底解説
「競合薬局が増え、患者獲得に悩んでいる」
「新しいサービスがなかなか認知されない」
「漠然とした健康不安を抱える層に、どうアプローチすべきか」
日々変化の激しい薬局経営において、このような課題に直面する経営者様や管理薬剤師様も多いのではないでしょうか。特に、薬局のサービスは「必要な時に利用するもの」という側面が強く、まだニーズが顕在化していない潜在的な患者さんにアプローチするのは至難の業です。
しかし、もし「まだ薬局を探していないけれど、将来的に患者さんになる可能性のある方」に対して、あなたの薬局の魅力を効果的に伝え、「需要を創り出す」ことができたらどうでしょう?
本記事では、Googleが2023年10月にリリースした新しい広告キャンペーンタイプ「デマンドジェネレーションキャンペーン」に焦点を当て、その仕組みから薬局経営における活用方法、具体的な設定手順、そして成果を出すためのクリエイティブ戦略まで、実践的に解説します。
読了後には、あなたの薬局が潜在顧客層にアプローチし、将来の患者さんを増やすための具体的な戦略が見えてくるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1. デマンドジェネレーションキャンペーンとは?薬局経営者が知るべき基本

「需要創出」で潜在顧客にアプローチする新しい広告戦略
デマンドジェネレーションキャンペーンは、Google広告が提供する新たなキャンペーンタイプで、従来の「ファインドキャンペーン」の後継として登場しました。その最大の特徴は、文字通り「デマンドジェネレーション(Demand Generation)=需要創出」という言葉が示す通り、まだ特定の検索意図が明確になっていない潜在的な顧客層に対し、積極的にアプローチし、新たな需要を喚起することを目的としています。
従来の広告が「検索している人」や「購買意欲の高い人」をターゲットにしていたのに対し、デマンドジェネレーションキャンペーンは、「なんとなく健康に興味がある」「最近、少し疲れやすいな」といった、漠然としたニーズを持つ層に、視覚的に訴求力の高い広告を届けます。
Googleの高度なAI(人工知能)を活用し、以下の主要な配信面に横断的に広告を配信できるのが強みです。
- YouTube: ショート動画、インフィード(おすすめ動画の間)、ホームフィード、次のおすすめ動画の表示面
- Discover: GoogleアプリやChromeのホーム画面に表示されるパーソナライズされた情報フィード
- Gmail: プロモーションタブやソーシャルタブの上部に表示される広告
- Googleディスプレイネットワーク(GDN): 2024年3月頃から配信対象に追加され、さらに広範なウェブサイトやアプリにもリーチが拡大しています。
これらの配信面は、ユーザーが情報収集やエンターテイメントを楽しんでいる最中に広告が表示されるため、「押し付けがましさ」を感じさせずに、自然な形で薬局の魅力や提供するサービスを伝えることができます。
薬局におけるデマンドジェネレーションキャンペーンの役割
では、薬局経営において、このデマンドジェネレーションキャンペーンはどのように役立つのでしょうか?具体的な活用例を見ていきましょう。
- 新規患者獲得のきっかけ作り: 例えば、「季節の変わり目に体調を崩しやすい方へ」といったテーマで、薬剤師が健康アドバイスを行う動画広告を配信し、薬局の健康相談サービスへの誘導を図ります。
- 特定サービスの認知度向上: インフルエンザ予防接種の予約開始時期に、視覚的に分かりやすい動画や画像で接種の重要性や予約方法を告知し、早期予約を促します。あるいは、在宅医療、禁煙サポート、OTC医薬品の選び方相談など、あまり知られていない専門サービスの存在を広く伝えます。
- 季節ごとのキャンペーン告知: 花粉症対策、夏バテ予防、冬の乾燥対策など、季節ごとの健康課題に合わせた商品やサービスを魅力的なクリエイティブで紹介し、来店や問い合わせを促します。
- 地域に根ざした薬局のブランドイメージ構築: 薬剤師の日常や、地域住民との交流、薬局の清潔感や温かい雰囲気を伝える動画を配信することで、「かかりつけ薬局」としての信頼感や親しみやすさを醸成し、地域での存在感を高めます。
このように、デマンドジェネレーションキャンペーンは、まだあなたの薬局を知らない、あるいは必要性を感じていない潜在的な患者さんに対して、あなたの薬局が提供できる価値を「発見」してもらうための強力なツールとなります。
2. 「P-MAX vs デマンドジェネ vs 検索広告」薬局に最適な使い分け判断フロー

Google広告には様々なキャンペーンタイプがあり、それぞれ得意とする役割が異なります。デマンドジェネレーションキャンペーンを最大限に活用するためには、他の主要なキャンペーンタイプとの違いを理解し、薬局のマーケティング目標に合わせて適切に使い分けることが重要です。
ここでは、特に利用頻度の高い「検索広告」「P-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーン」「デマンドジェネレーションキャンペーン」の3つを比較し、薬局に最適な使い分けの判断フローをご紹介します。
【薬局に最適な使い分け判断フロー】
あなたの薬局のマーケティング目標に合わせて、以下のフローで最適なキャンペーンタイプを検討しましょう。
- 「今すぐ、特定のサービスや商品を探している顧客を獲得したい」
例:「処方箋薬局を探している」「特定の市販薬の在庫を知りたい」
→ 迷わず「検索広告」。明確なニーズを持つユーザーを確実にキャッチします。
- 「Googleのあらゆるチャネルを活用し、コンバージョン(予約、購入、申込など)を最大限に増やしたい」
例:「オンラインで健康食品を販売しており、売上を最大化したい」「健康セミナーの参加者を増やしたい」
→ 「P-MAX」。Google AIが最適なユーザーと配信面を見つけ、効率的にコンバージョンを追求します。
- 「まだニーズが顕在化していない潜在顧客にアプローチし、薬局の認知度を高め、将来的な需要を創出したい」
例:「近隣住民に、薬局が提供する幅広い健康相談サービスを知ってほしい」「『かかりつけ薬局』としてのブランドイメージを確立したい」「新しい予防接種サービスを広く告知したい」
→ 「デマンドジェネレーションキャンペーン」。視覚的な魅力で興味を引き、あなたの薬局のファンを増やします。
両キャンペーンを併用するメリット
これらのキャンペーンは、それぞれ異なる役割を担うため、単独で運用するよりも併用することで相乗効果を生み出すことができます。
例えば、デマンドジェネレーションキャンペーンで潜在顧客にアプローチし、薬局の存在や提供サービスを広く認知させます。その結果、あなたの薬局に興味を持ったユーザーが検索行動に移った際に、検索広告で確実にキャッチし、P-MAXでコンバージョンへと導く、といった包括的なマーケティング戦略が可能です。
内部リンク候補: P-MAXと検索広告の違い をより詳しく知りたい方は、弊社の関連ブログ記事もご覧ください。
3. デマンドジェネレーションキャンペーンの設定手順【最新版】
実際にデマンドジェネレーションキャンペーンを設定する際の具体的なステップを見ていきましょう。Google広告の管理画面で行う手順に沿って解説します。
ステップ1:キャンペーン目標の設定
まずはキャンペーンの目的を明確にします。薬局経営においては、以下の目標が考えられます。
- 販売促進: オンラインストアでサプリメントやOTC医薬品を販売している場合
- 見込み顧客の獲得: 健康相談の予約、メルマガ登録、LINE公式アカウントへの登録など
- ウェブサイトのトラフィック: 薬局のサービスページ、ブログ記事などへの訪問を増やす
- ブランド認知度と比較検討: 薬局の認知度向上、競合との差別化
例えば、「地域住民に健康相談サービスの存在を知ってもらい、予約数を増やす」という目標であれば、「見込み顧客の獲得」を選びます。
ステップ2:予算と入札戦略の選択
- 予算: キャンペーンに投じる1日あたりの平均予算を設定します。Google AIが学習し、効果を最大化するためには、最初の30日間で50コンバージョンを目標にできる程度の予算を確保することが推奨されます。
例:健康相談の予約が1件あたり1,000円で獲得できると想定した場合、最低でも1日あたり1,700円(50コンバージョン × 1,000円 ÷ 30日)程度の予算は確保したいところです。
- 入札戦略:
最初は「コンバージョン数の最大化」で開始することをおすすめします。 Google AIがデータ収集と学習を効率的に行い、最も多くのコンバージョンを獲得できるよう自動で最適化してくれます。
ある程度のデータが蓄積され(目安として月間30~50コンバージョン)、キャンペーンの成果が見えてきたら、「目標コンバージョン単価(目標CPA)」を設定し、1件あたりのコンバージョン費用を抑制しながら成果を追求することも可能です。
ステップ3:ターゲット地域と言語の設定
あなたの薬局がサービスを提供する地域、そして広告を表示させたい言語を設定します。
- 地域: 例えば「〇〇市」「△△区」といった具体的な地域名や、薬局から半径〇kmといった範囲で設定できます。地域密着型の薬局にとって非常に重要な設定です。
- 言語: 日本語を選びます。
ステップ4:オーディエンス(ターゲット層)の作成
デマンドジェネレーションキャンペーンの肝となるのが、適切なオーディエンス設定です。薬局のターゲット層に合わせて、以下の種類のオーディエンスを組み合わせて作成します。
- カスタムセグメント:
特定のキーワードを検索した人、特定のウェブサイトを訪問した人、特定のアプリを利用した人など、詳細な条件でオーディエンスを作成できます。
薬局の例: 「花粉症 対策」「血糖値 改善 食事」といったキーワードを検索した人、競合他社のウェブサイトを訪れた人、健康管理アプリを利用している人など。
- データセグメント(旧リマーケティングリスト):
過去にあなたの薬局のウェブサイトを訪問したことがある人、アプリを利用したことがある人、顧客リスト(メールアドレスなど)をアップロードして作成するリストなど。
薬局の例: 過去に薬局のウェブサイトで健康相談ページを見たが予約に至らなかった人、オンラインストアで商品をカートに入れたまま離脱した人など。
- 類似セグメント:
既存のデータセグメント(例:過去の来店患者のリスト)と似た行動や興味関心を持つユーザーをGoogle AIが自動で探し出してくれます。
薬局の例: 既存の優良患者と似た属性の新しい患者さんを発掘したい場合。
- 興味関心とデモグラフィック:
ユーザーの興味関心(例:「健康とフィットネス」「子育て」「シニアライフ」)や、年齢、性別、世帯収入などのデモグラフィック情報でターゲティングします。
薬局の例: 「子育て中の親」をターゲットに子供の健康相談サービスを告知。「60歳以上の健康意識が高い層」に介護用品や在宅医療のサポートを提案。
【薬局向けオーディエンス設定のコツ】
例えば、「冬に向けてインフルエンザ予防接種の予約を促したい」場合、以下のようなオーディエンスを検討できます。
- 興味関心: 「健康とフィットネス」「子育て」「旅行(海外渡航前接種を検討する層)」
- カスタムセグメント: 「インフルエンザ 予防接種 予約」「発熱 外来」といったキーワードを過去に検索した人
- データセグメント: 昨年、薬局のウェブサイトで予防接種のページを閲覧した人
これらの組み合わせで、より効果的なターゲティングが可能になります。
ステップ5:「最適化されたターゲティング」の初期設定における注意点
「最適化されたターゲティング」は、Google AIが設定したオーディエンス以外にも、コンバージョンする可能性が高いユーザーを自動で探し出して広告を配信する機能です。
- 初期設定では、この機能を「オフ」にすることを推奨します。 まずは設定したオーディエンス層に的を絞ってデータ収集を行い、キャンペーンのパフォーマンスを安定させることが重要です。
- キャンペーンが安定し、十分なコンバージョンデータが蓄積された後で、さらにリーチを拡大したい場合に「オン」にすることを検討しましょう。
ステップ6:広告グループの構成例
広告グループは、同じテーマやターゲットを持つ広告とキーワードをまとめる単位です。デマンドジェネレーションキャンペーンでは、以下のように広告グループを分けることで、より効果的な運用が可能です。
- 例1:潜在顧客層とリマーケティング層で分ける
広告グループA: 潜在顧客向け: まだ薬局を知らない、あるいはサービスに興味がない層に対し、薬局の魅力や健康情報を広く伝える広告を配信。オーディエンスはカスタムセグメントや興味関心を中心に設定。
広告グループB: リマーケティング層向け: 過去に薬局のウェブサイトを訪問したことがあるが、コンバージョンに至らなかった層に対し、具体的なサービス案内や特典を提示する広告を配信。オーディエンスはデータセグメント(ウェブサイト訪問者)を中心に設定。
このように分けることで、それぞれの層に最適なメッセージとクリエイティブを届け、より高い効果が期待できます。
4. 成果を出すためのクリエイティブ戦略と最適な初期設定

デマンドジェネレーションキャンペーンは、視覚的な訴求力が非常に重要です。高品質で魅力的なクリエイティブ(画像、動画、テキスト)が、成果を出すための鍵となります。Googleも「広告の有効性」を「優良」にするために、多様なアセット(広告素材)の提供を推奨しています。
「広告の有効性」を「優良」にするためのポイント
Google広告では、広告の有効性を「不十分」から「優良」までの4段階で評価します。「優良」評価を得るためには、以下の種類の画像・動画・テキストアセットを十分に提供することが重要です。
【推奨アセットサイズの一覧表】
【テキストアセットの要件とベストプラクティス】
- 見出し(最大5つ):
短い見出し(最大30文字):広告の主要なメッセージ。簡潔でインパクトのある言葉を選びましょう。
長い見出し(最大90文字):より詳細な情報やメリットを伝えます。
薬局の例: 「地域のかかりつけ薬局」「薬剤師による健康相談」「処方箋ネット受付で時短」
- 説明文(最大5つ):
最大90文字。見出しを補足し、具体的な情報や行動を促す内容を含めます。
薬局の例: 「経験豊富な薬剤師があなたの健康をサポート。お気軽にご相談ください。」「待ち時間短縮!処方箋を事前に送ってスムーズにお薬を受け取れます。」
- ビジネス名: 薬局の正式名称を正確に入力します。
- 行動を促すフレーズ(Call To Action: CTA):
「詳細を見る」「今すぐ予約」「お問い合わせ」「購入する」など、ユーザーに具体的な行動を促すボタンのテキストです。目標に合わせて最適なものを選びましょう。
薬局のサービスや強みを伝えるためのクリエイティブ制作のヒント
- 薬剤師の顔出し: 親しみやすく、信頼感を高めるために、実際に働く薬剤師の笑顔や、患者さんと向き合う姿を積極的に見せましょう。
- 店舗の雰囲気: 清潔感があり、落ち着いた薬局の内装や、相談スペースの様子を映し出すことで、安心して来店できるイメージを伝えます。
- 特定の健康課題へのソリューション提示:
「花粉症でお悩みの方へ」→ 薬剤師がおすすめの市販薬や対策を解説する動画。
「高血圧が気になる方へ」→ 食事や運動に関するアドバイス、薬局での血圧測定サービスの紹介動画。
「お子様の急な発熱、どうすれば?」→ 小児科医との連携や、夜間・休日の対応について説明する動画。
- ショート動画の活用: YouTubeショートはユーザーのエンゲージメントが高く、特に若い層へのリーチに有効です。薬剤師が15秒~60秒で簡単な健康豆知識を解説したり、薬局のサービスをコミカルに紹介したりする動画は注目を集めやすいでしょう。
- 地域密着型をアピール: 地域のお祭りへの参加、健康イベントの開催、地元の食材を使ったレシピ紹介など、地域との繋がりをアピールするクリエイティブは、住民の共感を呼びます。
