「Yahoo 検索広告 と ディスプレイ広告 違い」で調べると、特徴の列挙で終わる記事が多く、“結局うちはどっちをどう使えば成果が最大化できるの?”に答え切れていません。
本記事では、意図(Intention)×到達(Reach)×効率(Efficiency)の観点で両者を立体的に比較。さらに、業種別の設計テンプレ・予算配分の初期解・命名規則・改善チェックリストまで公開します。これ一つで、実運用にそのまま落とし込めます。
1. 最速理解:違いの早見表(保存版)
観点 | 検索広告(Search) | ディスプレイ広告(Display/YDA) |
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目的 | 既存需要の刈り取り(顕在層) | 需要創出・想起/比較促進(潜在〜準顕在) |
配信面 | 検索結果ページ/検索パートナー | Yahoo! JAPAN面・提携メディア・アプリ(記事面/フィード/動画など) |
ターゲティング | キーワード(意図ベース)、地域・時間帯・デバイス | オーディエンス/コンテンツ(興味関心、リマーケ、類似、コンテンツ一致、掲載面) |
クリエイティブ | テキスト中心(見出し×説明文) | 画像/動画/レスポンシブ(ネイティブ) |
強み | 高いCVR・予測性・短期売上寄与 | 到達の広さ・上流での想起形成・再想起(再訪) |
弱み | ボリュームの頭打ち(検索需要依存) | 直接CVの揺れ/学習に時間・制作負荷 |
初期予算の置き方 | 指名+意図強キワードを最優先で確保 | 再訪(リマーケ)+近似意図から少額で検証拡張 |
KPI(例) | CPA/ROAS、CV、Imp.Share、検索語句品質 | 表示回数/到達、VTR、ビュー経由CV、インクリメント |
2. まずはこの順で決める:選び方フローチャート(文字版)
- 今月の売上ギャップがある →
a. 指名検索の取りこぼし(自社名・商品名)がある? → 検索広告:指名100%配信
b. 競合名・カテゴリ語で機会損失? → 検索広告:意図強中〜高単価語を追加 - 指名・高意図で上限に近い →
a. 再訪を増やす:ディスプレイ(リマーケ)を最優先
b. 新規想起を作る:ディスプレイ(興味関心/類似/コンテンツ)を段階的に拡張 - クリエイティブ制作体制がある → ディスプレイの新規を広げる
体制がない → 検索の横展開(地域/時間/デバイス/LP差分)で実効増を先に
3. 予算配分の初期解と拡張ルール
- 初期配分(汎用D2C/リード獲得の目安)
- 検索:60%(指名20、カテゴリ/比較40)
- ディスプレイ:40%(リマーケ20、新規想起20)
- 拡張ルール(2週間ごと)
- 検索のImp.Share(上位/絶対上位)が機会損失→検索へ再配分
- ディスプレイの再訪CV寄与が可視(後述の計測で確認)→新規想起を+10%
- 在庫/供給制約がある月は上流配分を−10〜20%
4. アカウント設計テンプレ(そのまま使える)
階層例(検索)
- キャンペーン:
S_JP_指名_正確一致_目標CPA
/S_JP_カテゴリ_部分一致_最大化CV
- 広告グループ:
KW_商品名
/KW_比較_悩み
- 命名:
{目的}_{国/地域}_{テーマ}_{一致種別}_{入札戦略}
階層例(ディスプレイ)
- キャンペーン:
D_JP_RMK_30d_目標CPA
/D_JP_類似_購買者1%_最大化CV
/D_JP_コンテンツ_◯◯特集
- 広告グループ:
AUD_RMK_30d_全来訪
/AUD_類似_購入者1%
/CTX_◯◯記事面
- クリエイティブ:
IMG_1200x628_v1
/VID_6sec_hookA_v2
5. キーワード&オーディエンス設計のコア
検索(意図ベース)
- 3バケットで網羅
- 指名:自社/商品名・誤字揺らぎ
- カテゴリ/課題:用途・悩み・比較(例:◯◯ 比較、◯◯ 選び方、症状×解決)
- 購入直前語:型番/価格/クーポン/最安/在庫
- 一致種別の基本:
- 正確一致=品質担保、部分一致=ボリューム拡張。除外の棚卸しを週次で。
ディスプレイ(人/文脈ベース)
- 最優先はリマーケ(30/60/90日などの回帰別)
- 新規は段階式:興味関心 → 類似(既存購入者/LP到達者) → コンテンツ(特集/カテゴリ面)
- 掲載面管理:成果の良い面はリスト化、不一致面は除外で学習を前進
6. クリエイティブ&LPの勝ちパターン
- 検索:見出し=“意図への即答”、説明文で証拠(実績/比較優位)+CTA
- ディスプレイ:最初の1秒のフック(テキスト最小・ビジュアル最大)。
- 6秒動画:課題提示→解決の一言→ブランド
- 画像:ビフォー/アフター、数字/ベネフィットを視覚化(LPと訴求連動)
- LP:検索=該当セクションを最上部、ディスプレイ=導入で“自分事化”→スクロール動機を作る
7. 入札・予算・配信コントロール(実務要点)
- 学習を壊さない:日次の大幅予算変更(±20%以上)や、短期での入札戦略の往復は避ける
- 目標CPA/最大化CVの使い分け:
- データ不足期=最大化CVで事実収集
- 週あたりCVが一定以上=目標CPAに切替
- 時間帯/地域/デバイス補正:検索は顕著に効く。除外語・除外面は週次で必ず更新
8. 計測と評価:直接効果だけを見ない
- 基本タグ+イベントでCVを正しく計測(購入/予約/資料請求などの完了点)
- 再訪寄与の見るべき指標
- ビュー経由の補助、クリック後の多接点経路、再訪CV率
- インクリメント検証(簡易)
- 期間×地域で配信/停止のA/B → オーガニック/指名検索/ダイレクトの増減を観測
- GA4連携(モデル比較・経路探索)で“上流の価値”を見逃さない
9. よくある失敗と回避策(チェックリスト)
- 検索:指名ワードを“完全に”守れていない(Imp.Share不足/上位表示率低い)
- 検索:部分一致で無関係語が拡散(除外語の週次整備がない)
- ディスプレイ:クリエイティブ1〜2本で回して学習が停滞
- ディスプレイ:リマーケを後回しにして新規ばかり
- 双方:LPが訴求とズレ(検索=答えが下層、ディスプレイ=導入が硬い)
- 評価:ラストクリック主義で上流配分を全カット
10. 業種別・即実装テンプレ
A. EC/D2C
- 検索:
指名
/カテゴリ(症状・用途)
/型番・価格・最安
- ディスプレイ:
RMK_7/30/90d
→類似(購入者/カゴ到達)
→特集面
- クリエイティブ:ランキング・社会的証明・返品保証の可視化
B. 来店/予約(医院・サロン)
- 検索:
地域+サービス
/今すぐ系(当日・急ぎ)
- ディスプレイ:
RMK_来院案内LP到達
→近隣興味関心
- クリエ:地図/所要時間・初回特典・空き状況の明確化
C. B2B/資料請求
- 検索:
業界課題+解決策/比較/価格
- ディスプレイ:
RMK_ホワイトペーパー閲覧者
→類似(リード)
- クリエ:事例サマリ・導入効果の数字・CTAは“相談”寄り
11. 改善の進め方(2週間スプリント雛形)
1週目:現状把握(Imp.Share/検索語句/面別/経路)→ 仮説立案
2週目:ABテスト投入(見出し/画像・6秒動画/入札/面/除外)→ 学習維持
終了時:勝ち要素の横展開+負け要素の除外→ 次スプリントへ
12. すぐに使える“コピペ”命名・Utm・テスト設計
キャンペーン命名
S_JP_{テーマ}_{一致}_{入札} 例)S_JP_指名_正確_目標CPA
D_JP_{AUD/CTX}_{ウィンドウ}_{入札} 例)D_JP_RMK30d_目標CPA
Utm(例)
utm_source=yahoo&utm_medium=search|display&utm_campaign={キャンペーン名}&utm_content={広告名}
ABテストの最小単位(推奨)
- 検索:見出しの“最初の1語”、説明文のベネフィットの言い回し
- ディスプレイ:1秒目のビジュアル、CTAボタンの有無、背景の有無
13. まとめ:勝ち筋は“二刀流の役割分担”を崩さないこと
- 検索=意図の刈り取りを最優先で取りこぼしゼロに
- ディスプレイ=想起と再訪で中長期の売上底上げ
- 計測と仮説検証で上流価値を定量化し、配分を微調整
この基本を守れば、予算規模に関わらず着実に成果は積み上がります。
付録:導入チェックリスト(最初の7日)
- 指名検索キャンペーンをImp.Share 90%+に
- 部分一致の除外語を初週で30語以上棚卸し
- ディスプレイはRMK(7/30/90日)から着火
- 画像3種+6秒動画1種を同時投入(差分学習)
- LPのファーストビューを広告訴求と一致
- GA4&CVイベントの動作確認(計測ズレ0)
- 2週間スプリントのAB計画をカレンダー化
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このまま上記テンプレをベースにあなたの業種・商材に合わせて具体化もできます。予算規模・目標CPA/ROASと合わせて、初期セットを一緒に詰めましょう。