【2025年版】Looker Studio(旧Data Studio)初心者ガイド:30分で“使える”ダッシュボードを作る完全ロードマップ

Looker Studio

この記事のゴール

  • 初心者が迷わず30分で基本ダッシュボードを完成させる
  • 明日から運用できる設計原則とチェックリストを持ち帰る
  • つまずきやすい権限・指標・日付の落とし穴を回避する

Looker Studioとは?できること・向いていること

Looker Studio は、複数データを無料で可視化・共有できるGoogleのBIツール。

  • 向いていること:マーケ指標のモニタリング、KPI共有、週次レポート代替
  • サッとできること:GA4の可視化、Google広告の成果集計、スプレッドシートの集計、埋め込み共有
  • 気をつけること:指標の定義ズレ、権限の継承、データ量が多い時の動作の重さ

まずは“全部載せ”ではなく目的別ミニボードから。KPIが回り始めてから拡張しましょう。


はじめてのセットアップ(無料でOK)

  1. Googleアカウントでログイン
  2. 新規レポート → データを追加
  3. とりあえずは GA4Googleスプレッドシートで開始
  4. 社内共有はリンク共有(閲覧)から。編集者は最小限に。

命名規則(おすすめ)
[用途]-[部署/プロジェクト]-[更新頻度]-[ver] 例:KPI-EC-Weekly-v1.0


30分レシピ:GA4ダッシュボードを作る

目的:集客→行動→成果の流れを、1ページで把握できる“朝会用”ダッシュボードを作る

Step 1. データ接続(5分)

  • データソース:Googleアナリティクス 4(GA4)
  • デフォルト日付範囲:過去28日(比較:前期間)

Step 2. レイアウト(5分)

  • ページ幅:ワイド
  • 行構成:
    • 行1:KPIカード(ユーザー数 / セッション / CV / CVR / 売上)
    • 行2:可視化(曜日×時間のヒートマップ、集客チャネル円/棒)
    • 行3:詳細テーブル(参照元/メディア別、LP別)

Step 3. ウィジェット配置(15分)

  • スコアカード×5:
    • ユーザー、セッション、合計収益(EC)、コンバージョン(主要イベント)、CVR(計算式後述)
  • ヒートマップ:ディメンション=曜日 / 時間、指標=セッション
  • 棒グラフ:ディメンション=デフォルトチャネルグループ、指標=セッション・CV
  • テーブル:ディメンション=参照元/メディア、指標=セッション・CV・CVR・収益
    • ソート:CV降順
    • 条件付き書式:CVR > 平均で強調

Step 4. コントロール(5分)

  • 日付範囲コントロール(右上固定)
  • ディメンションフィルタ(デバイスカテゴリ、国/地域)

ここまでで“毎朝見るべき”可視化が完成。まずは1ページで回してから増築しましょう。


広告・表計算をつなぐ:実務で効くデータ接続3選

  1. Google 広告:キャンペーン×成果(CV/売上)をGA4と日付で整合確認
  2. Search Consoleクエリ × ページでSEOの拾い上げ。LP別の“検索意図”を会議に持ち込める
  3. スプレッドシート
    • 予算表(目標CPA/CAC、在庫、粗利率)
    • オフラインCV(コール/来店/受注確定)
    • 運用メモ(施策ログ)を同じページに埋め込むと意思決定が速くなる

ヒント:Joinキーは「日付」+「キャンペーン名」など。命名規則を揃えるとデータブレンドが安定します。


“使える”レポートに変える5つの設計原則

  1. 意思決定ファースト:グラフは“見ると動けるか”で採用
  2. KGI→KPI→指標:目的→手段の順でページ構成
  3. 1画面1物語:スクロールを減らす、結論→根拠→詳細
  4. 定義を明記:CVの定義・集計単位・帰属期間を本文か注釈に記載
  5. 運用を設計:更新頻度、担当、アーカイブ方法を最初に決める

計算フィールドの常備レシピ(コピペ可)

※指標名はデータソースに合わせて調整してください

  • CVR(%) (Conversions / Sessions) * 100
  • CTR(%)(広告データソース) (Clicks / Impressions) * 100
  • 平均注文額(AOV) Revenue / Transactions
  • CPA(獲得単価) Cost / Conversions
  • ROAS(%) (Revenue / Cost) * 100
  • 直帰率(GA4相当のエンゲージしなかった割合の代替) 1 - (Engaged sessions / Sessions)
  • 新規率 New users / Users

命名のコツ[KPI]_[単位](例:ROAS_pct)。人が増えても迷わない。


フィルタ・コントロールで“誰でも触れる”化

  • 日付過去28日 | 過去7日 | 昨年同週のプリセットを保存
  • デバイス:PC/モバイル/タブレットでレイアウト差を素早く確認
  • チャネル:Organic / Paid Search / Paid Social / Referral をワンタップ比較
  • 検索(テキスト):キャンペーン名・LP名の部分一致で担当者が自走

“閲覧者が自分で切れる”UIをつけるほど、運用負荷が下がり意思決定が早くなる


よくあるつまずき(権限・指標の不一致・日付)

  • 見えない/壊れる
    • スプレッドシートの共有が“リンク閲覧可”になっていない
    • データソースの所有者が退職/権限変更
  • 指標のズレ
    • GA4のコンバージョン定義と広告の“CV”が別物
    • 帰属(アトリビューション期間/モデル)の前提が異なる
  • 日付が合わない
    • タイムゾーンの違い(GA4はプロパティTZ、広告はアカウントTZ)
    • “当日”を含める/含めないで数値がブレる → 締めルールを明記

チェックフレーズ(レポート下部に明記)

  • 集計範囲:yyyy-mm-dd – yyyy-mm-dd
  • タイムゾーン:Asia/Tokyo
  • CV定義:purchase / generate_lead …
  • 帰属:データ主導 / 7日クリック、1日ビュー など

運用:共有・権限・バージョン管理・パフォーマンス

  • 共有:編集権限は最小限。レビューは閲覧+コメントで回す
  • 権限:データソースをオーナー横断で作らない(組織アカウントで統一)
  • バージョン管理v1.0から小刻みに。大規模改修はコピーで別ID
  • パフォーマンス
    • グラフ数を減らす、抽出データ集計テーブルの活用
    • 重いテーブルはページを分割、必要ならSheetsで前集計

テンプレ構成例:経営ダッシュボード/広告運用/コンテンツSEO

1) 経営ダッシュボード(週次・1ページ)

  • KGI:売上/粗利/在庫回転
  • KPI:新規CV・LTV見込み・広告効率
  • 構成:KPIカード → チャネル別ファネル → 商品別売上パレート → 施策ログ埋め込み

2) 広告運用(デイリー・2ページ)

  • P1:配信サマリ(費用・CV・CPA・ROAS、チャネル/キャンペーン別)
  • P2:クリエイティブ分析(広告名×CTR×CVR、検索語句/クエリ、LP別CVR)

3) コンテンツSEO(月次・2ページ)

  • P1:クエリ×ページ(掲載順位・CTR・クリック)
  • P2:記事別トレンド(公開日×成長、内部リンク網羅率、更新履歴)

FAQ

Q1. 無料でどこまで使えますか?
A. 小規模〜中規模のモニタリングは十分可能。まずは無料で構築し、運用の壁(権限・SLA・大規模)に当たってから有料化や体制整備を検討。

Q2. GA4だけでも良いですか?
A. まずはOK。ただし広告費や粗利が見えないと意思決定は鈍るため、早めに広告/表計算を併用してROAS/利益まで可視化を。

Q3. 数値がツール間で合いません
A. 定義(CV/期間/タイムゾーン/モデル)を注釈に固定。比較する時は同じ粒度で合わせるのが鉄則。

Q4. 動作が重い/開かない
A. グラフ削減、抽出データの活用、前集計(Sheets/Pivot)で負荷を軽減。1ページ1目的に。

Q5. 社外共有は安全ですか?
A. 共有リンクは閲覧限定+データソースの公開範囲を確認。個人情報/機微データは匿名化/集計が原則。

Q6. Excelでも使えますか?
A. 直接は×。Googleスプレッドシートに取り込むか、CSVでアップロード(定期反映はApps Script等で自動化)を。

Q7. ダッシュボードが増えて混乱
A. 命名規則用途マトリクスで整理。廃版ルール(最終閲覧日90日超でアーカイブ等)を。


付録:作成チェックリスト(コピー用)

  • 目的を1行で言える(誰が、いつ、何を決めるため?)
  • KPIが5つ以内
  • 定義・期間・TZ・帰属が明記
  • フィルタ(日時/デバイス/チャネル)を配置
  • 1ページ完結で結論→根拠→詳細
  • 共有権限は閲覧中心、編集は最小
  • 週次の運用オーナーが決まっている