検索広告は、本文だけで勝負する時代ではありません。広告表示オプション(Googleでは「アセット」)を正しく設計すれば、占有面積が広がり、意図の強いクリックを選別でき、同じ入札でも成果が伸びます。本稿では、上位記事の構成を踏まえつつ、実運用で差がつく比較表・使い分け・設定のコツ・評価手順まで、現場目線で一気通貫にまとめました。リンクは入れず、これだけ読めば明日から実装できます。
1. 序論:広告表示オプション=「アセット」。なぜ今テコ入れ必須か
- 呼び名の整理:Googleは近年「広告表示オプション」をアセットと表現(例:サイトリンクアセット、画像アセット)。Yahoo!は引き続き広告表示オプションの呼称が中心。
- 表示の可否は自動最適化:入札・広告ランク・関連性・媒体側アルゴリズムで出たり出なかったりします。“入れる=必ず出る”ではないため、種類×数を十分仕込むことが安定化のカギ。
- 効果の本質:①面積拡大で視認性UP、②多面的な訴求で“目的別の最適クリック”を取りに行ける、③品質評価の要素としてもプラスに働きやすい。
2. 種類と対応表(Google / Yahoo!):何が同等で、何が違う?
まずは同等マッピングで全体像を掴み、使える選択肢を網羅します。※名称は実運用で一般的な呼び方を併記。
目的/特徴 | Google(アセット) | Yahoo!(広告表示オプション) | 推奨用途・メモ |
---|---|---|---|
回遊/深堀り | サイトリンク | クイックリンク | 下層導線を追加。4本以上が目安。商品・カテゴリ・料金・事例・FAQなどを目的別に。 |
追加訴求 | コールアウト | テキスト補足 | 箇条書きで“強み”を列挙。8~12個用意し、媒体に最適化させる。 |
カテゴリ列挙 | 構造化スニペット | カテゴリ補足 | 書式は「ヘッダー(サービス/型式など)+値の羅列」。重複・句読点に注意。 |
視覚訴求 | 画像 | (提供状況はアカウントや仕様により異なる) | スマホ面の視認性に寄与。縦横比・被写体中心・テキスト入れすぎNG。 |
価格訴求 | 価格 | (非対応/別メニュー) | サービス/商品ごとに項目化。通貨表記・税別/込の整合性を必ず。 |
施策訴求 | プロモーション | (テキスト補足等で代替) | セール名・割引率・期間。季節イベントと抱き合わせ。 |
リード獲得 | リードフォーム | (フォームは媒体外活用が基本) | 事前同意・プライバシーポリシー必須。B2Bや来店予約前の軽い獲得に。 |
電話誘導 | 電話 | 電話番号 | 営業時間を考慮。架電計測の仕組み設計(目標設定/コンバージョン)を。 |
来店誘導 | ロケーション(住所) | (住所系は提供状況に依存) | Googleビジネスプロフィール連携で地図表示/距離訴求が強い。 |
アプリ誘導 | アプリ | (アプリリンクで代替) | iOS/Android両対応のURI整理。 |
自動生成 | 自動アセット各種 | 自動補足 | 便利だが意図とズレやすい。基本は手動を主に、補助でON。 |
使えるものは全て仕込む ≒ 面積の時価総額を最大化。ただし重複表現は審査/配信抑制の原因になり得るため、役割を分担させます。
3. 目的別の使い分け早見表
3-1. コンバージョン(CV)を最速で伸ばしたい
- 推奨セット:サイトリンク(料金/申込み/来店予約/問い合わせ)+価格(EC/明瞭料金)+電話(即時性が高い商材)+画像
- コピーの方針:“行動動詞+具体便益+安心材料”(例:今すぐ予約|当日施術OK|初診¥0 など)
3-2. 店舗集客(美容/整体/飲食など)
- 推奨セット:ロケーション(住所)+サイトリンク(予約/メニュー/アクセス)+電話+画像
- 運用の肝:エリアKW×住所表示の掛け算。営業時間とコール可否を合わせる。
3-3. B2Bリード(資料請求/デモ)
- 推奨セット:リードフォーム+サイトリンク(導入事例/料金/機能一覧/よくある質問)+構造化スニペット(業界/機能カテゴリ)+コールアウト(差別化の核心)
- 運用の肝:事例×業種の適合を明記。フォームは短く、SFA連携で即レス体制。
3-4. セール・キャンペーン期(短期勝負)
- 推奨セット:プロモーション+価格+コールアウト(“今だけ”/“○日まで”)+画像
- 運用の肝:終了日で自動停止。価格と本文・LPの表記を完全一致に。
4. 設定のベストプラクティス(審査で落ちない・強く出る)
4-1. 最低限ここまで入れる(検索キャンペーン1配下の目安)
- サイトリンク:4本以上(可能なら6~8本)。見出し25~30文字級+説明文も入れる。
- コールアウト:8~12個(短文15字前後を量産)。
- 構造化スニペット:2~3ヘッダー × 各4~10値。
- 画像:6枚以上(1:1と1.91:1を混在、被写体中央・テキスト少なめ)。
- 価格/プロモーション/電話/ロケーション/リードフォーム:商材に応じて必須化。
4-2. 文言ルール(媒体共通で“落ちがちな”ポイント)
- 重複表現:本文=サイトリンク=コールアウトで同語反復は避ける。
- 誇大表現:「日本一」「業界最安」等は根拠不可なら回避。
- 記号・大文字:!!や全角記号乱用、全大文字は抑制。
- 価格整合:広告・LP・構造化/価格アセットの税区分/表記を一致。
- 電話:通話不可時間の配信抑制、スマホ比率の最適化。
- 画像:顔・ロゴの切れ、縁の余白不足、過剰な文字入れはNGになりやすい。
- リードフォーム:プライバシーポリシーURLの掲示、同意チェック設計。
4-3. 命名とひな形(運用が爆速になるテンプレ)
- 命名:
[目的]_[カテゴリ]_[要約]_v01
(例:CV_料金_定額プラン_v01
) - サイトリンク見出し:
[行動] + [具体便益]
(例:無料見積もり | 最短10分回答
) - コールアウト:一語強み(
当日発送
24時まで
初月無料
返金保証
…)を量産。 - 構造化:B2Bなら
導入業界
/ECなら取扱ブランド
など迷わず選べる枠を。
5. 計測と改善:アセット単位で“勝っている表現”を特定する
5-1. レポート設計
- 媒体側:アセット別の表示回数・クリック・インタラクション・コンバージョン指標を定点で抽出。
- GA4:サイトリンク等の遷移先に
utm_content
でアセット名を付与し、ランディング×行動で差を可視化。 - 命名の一貫性がダッシュボードの可読性を決める。
5-2. 改善の回し方(2週間/4週間サイクル)
- 露出:表示回数シェアが低いアセットは本数追加 or 文言刷新。
- 関心:クリック率が低い場合は行動動詞・数字・ベネフィットを強化。
- 成果:CVRで勝っている組み合わせを“セット”として横展開。
- 棚卸し:表示ゼロ/クリックゼロのアセットはアーカイブして在庫を入れ替え。
6. ケースで理解:最短で形にする“勝ち構成”
6-1. EC(単価明瞭・セール多め)
- 必須:サイトリンク(カテゴリ/クーポン/ランキング/返品)+価格+プロモーション+画像
- 一言:価格と返品条件を前面に。レビュー要素はコールアウトへ。
6-2. 来店型(美容院・整体・歯科・飲食)
- 必須:ロケーション+サイトリンク(予約/料金/アクセス/スタッフ)+電話+画像
- 一言:近接性×即時性。営業時間に合わせて電話比率を上げる。
6-3. B2B/SaaS(相談~デモ)
- 必須:リードフォーム(短項目)+サイトリンク(事例/料金/機能/導入手順)+構造化(業界/機能)+コールアウト
- 一言:導入工数・サポート体制を先出し。事例は業界名で刺す。
まとめ:実装チェックリスト(コピペ推奨)
- サイトリンク:用途別4~8本/説明文まで投入
- コールアウト:8~12個(短文で多面化)
- 構造化スニペット:ヘッダー2~3種×値4~10
- 画像:1:1&横長を各3枚以上/被写体中央/文字少なめ
- 価格/プロモーション/電話/ロケーション/リードフォーム:商材に合わせ必須化
- 重複表現の排除:本文と役割分担
- 命名規則:
目的_カテゴリ_要約_vxx
で統一 - GA4のutm_content:アセット名を埋めて可視化
- ABサイクル:低露出/低CTR/低CVRの要因を分解→入替
結論:
広告表示オプション(=アセット)は“面積×適切導線×評価”の三位一体で効きます。全部入れる→データで選ぶ→勝ちセットを横展開。これが、同じ入札でも成果を一段引き上げる最短ルートです。